3つのうち、1つを選んでもらう。(イメージ図です)
良さを、全部伝えたくなる
体験や初回の場で、自分のメニューの良さを、できるだけ全部伝えたい。せっかく来てくれた人に、損をさせたくない。そう思うほど、渡したいものが増えていきますよね。
ところが、帰ったあとの相手が、思ったように動いてくれない。報告も来ない、、、。こちらは精一杯渡したつもりなのに、と戸惑う日もあるのではないでしょうか。
先日、体や食事の講座をしている、ある講師業の人たちの会議の記録を読んでいて、近い場面に出会いました。そこで語られていた考え方が、とても印象に残りました。
全部知ると、全部やりたくなって、止まってしまう
会議に出てきたのは、短い体験期間の中にいる人の話でした。動画で説明を見ると、全部やりたくなってしまう。そして、その人からは、なかなか報告が上がってこないそうです。
あくまで私の見立てですが、やる気がない訳ではなく、全部やろうとして、どこから手をつければいいのか分からなくなっているのかもしれません。全部を知ってしまうと、かえって動けなくなる。そんなこともあるんですね。
短い期間でできることは、1つ
この話を受けて、会議の中心にいる講師業の人は、短い期間でできることは本当は1つしかなく、それもやり始めの1つなんです、と話していました。
では、体験のあいだはどうするのか。その人の組み立てを、順に書いてみます。体験の初めに、相手の普段の様子を見せてもらい、直したいところをいくつか見つけておく。途中の振り返りで、そのうちの1つを、「どれからやりますか?」と、相手に選んでもらう。
全部は長いコースの中で解決していけるので、体験の残りの期間では、やれそうなことを1つだけ選んでもらう。やってみて、きつければ、やり方を直す。そう伝えているそうです。
付箋は、1枚だけ。まずは、それで始めます。(イメージ図です)
小さくするとは、どのくらいか
小さく分ける、と言われても、どのくらい小さくすればいいのか迷いますよね。会議の中に、そのヒントがありました。食べられない食材がある人には、食べられるものを聞いて、それを使ってできることを提案する。ある講師さんは、近くのお店で手に入るもので、できそうなことを一緒に探した、と話していました。
相手が「それならやります」と言えるところまで、小さくする。その上で、体験のあいだに1つできたらいい、という気持ちで見ている。そんな姿勢が、とても伴走らしいなと思いました。
できたときに、聞くこと
相手が1つできたとき、「すごいですね」と言いたくなりますよね。ところが会議では、そこで終わらせない、という話も出ていました。「なんでできたんですか?」と聞いてみる。そして、やってみたときの感覚を聞く。たとえば、飲む水の量を増やしたなら、飲みやすさや、トイレの回数などです。
できたことを、相手自身の言葉にしてもらう。そんな聞き方もあるんですね。
体験は、入口でいい
私も、良さを全部伝えたくなる気持ちは、よく分かります。ただ、この話を読んで、体験は自分のメニューを全部渡す場というより、相手が1つを選んでやってみる入口なのかもしれない、と思うようになりました。選んだ1つがやれそうだと分かれば、そのあとの長いコースで、残りのことを順番に解決していく。そう伝えられます。
この方法で、いつも思い通りに動いてもらえた、という話は、記録には出てきませんでした。現場で試されている組み立て方の1つです。それでも、全部渡すのをやめて1つ選んでもらうのは、今日から試せる軽い変更だと思います。
次の体験や初回で、渡したいものが3つあったとしたら、その中から相手に1つだけ選んでもらう形にするのは、どうでしょうか。選んだ1つを、一緒に小さくしてみる。そこから始められそうです。
入口を小さくする、という考え方は、「妻が店頭で割高な野菜ジュースを1ケース注文した流れを、マーケティングの目で読み解いてみた」でも書いています。こちらは、相手が自分の現在地を見られる入口の話です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。