2026.10.06 集客の考え方
多くの人に振り向かれなくていい。「私のことだ」と思う、たった一人に向けて書く
反応を増やしたくて、誰にでも当てはまる言葉を選んでいませんか。私は、多くの人に振り向いてもらう必要はないと考えています。年齢や肩書きではなく、状況と気持ちで呼ぶと、「私のことだ」と思う一人に届きます。
反応を増やそうとして、言葉が広くなっていませんか
発信を続けているのに、反応がない。相談にもつながらない。そんなときは「もっと多くの人に見てもらわなければ」と思いますよね。それで投稿の言葉を、「悩んでいる方へ」「頑張っているあなたへ」のように、誰にでも当てはまる形に整えていく。無難にまとめているのに、いいねはつくけれど、誰からも声をかけられない。そんな経験に、覚えはありませんか?
私は、多くの人に振り向いてもらう必要はないと考えています。必要なのは、たった一人が「これは私のことだ」と思ってくれる言葉です。
ターゲットを絞ると、お客さんが減りそうで怖いですよね。それでも一人に絞るほうがいい理由を、順番に書いていきます。
広く呼びかけると、誰のことでもなくなる
「悩んでいる方へ」と書かれていても、自分のことだとは思わず、そのまま通り過ぎてしまうものです。誰にでも当てはまる言葉は、誰の状況にも触れていないので、読んだ人の心に引っかかる場所がないんです。
反対に、「どうして私のことが分かるの」と感じる言葉は、その人の状況をそのまま言い当てています。ここが、届く言葉と流れていく言葉の違いだと思います。
「ペルソナ」という言葉を聞いたことはありますか? 年齢や性別だけでなく、価値観や悩みまで含めて決めた、一人の人物像のことです(※1)。マーケティングでは、昔からある基本の考え方です。
妻の場合:状況と気持ちで呼びました
私の妻は、ダイエットの指導をしています。「痩せたい人、来てください」と呼びかけたら、ほとんどの人が当てはまってしまいます。集客で実際に使った呼びかけは、こうでした。
ダイエットとリバウンドを繰り返してきて、もう何をしていいかわからない。自分で痩せることには限界がある人
何度もダイエットに挑戦して、そのたびに戻ってしまった人です。もう自分の力では無理かもしれない、と感じています。その人が読んだら、「ここに私がいる」と思うはずです。
妻の集客については、やったことと役割分担にまとめています。
私の場合:「コーチ・講師の方へ」では足りませんでした
私が支えたいのは、コーチ、カウンセラー、講師の方です。ただ、「コーチ・講師の方へ」という呼びかけでは、当てはまる人が大勢いすぎて、私の言葉が誰かのことになりません。いまの私は、こう呼びかけたいと考えています。
いい方法を持っていて、お客さんにも喜ばれている。でも、お客さんが増えるたびに、自分の時間が削られていく。来てくれるのは嬉しいのに、バランスがうまく取れない人。集客から販売までが自動で動いて、理想のお客様が来る仕組みを作りませんか
肩書きでは呼ばずに、その人のいまの状況と気持ちで呼んでいます。
年齢で区切ると、その人の状況までは分からない
「30代女性の方へ」のように、年齢で区切りたくなりますよね。いちばん決めやすい区切り方だからです。でも、30代にもいろんな30代がいます。独立したばかりの人もいれば、子育てをしながら働く人も、介護をしている人もいます。同じ年代でも、ライフスタイルも環境も違うんです。
年齢だけでは、その人が何に困っていて、どんな未来に変わりたいのかまで分かりません。だから私は、年齢ではなく、悩みと、変わりたい未来と、いまの状況で呼ぶことにしています。さきほどの2つの呼びかけにも、年齢は一言も出てきません。
この考え方は、論文にもあります。クレイトン・クリステンセンさんらは、年齢や性別で顧客を分ける方法を批判して、お客さんが片づけたい「用事」を単位に考えるよう主張しました(※2)。
有名なのが、ミルクシェイクの例です。朝の通勤中に買う人たちは、退屈な通勤の時間を紛らわせて、昼まで空腹をしのぐために買っていた、という内容です。同じ商品でも、買う目的で人が分かれる訳ですね。
「広く届けるほうが成長する」という説もあります
ここまで読んで、反対の意見が気になった方もいると思います。実際、Byron Sharpさんの『How Brands Grow』は、狭く絞るより広く届けるほうが成長する、と主張しています(※3)。お客さんの違いより共通点のほうが大きい、というのが理由です。ただ、これは主に、大きなカテゴリーで競う主流ブランドを想定した話だそうです。
大きな企業なら、広告費と知名度で、広く届ける戦い方もあるでしょう。でも、一人で仕事をしている私たちには、全員に届かせる力がありません。だから私は、それでも一人に向けるべきだと考えます。全員に向けて書いた言葉は、誰のことでもないままで終わってしまうんです(笑)。
一人を決めるには、状況を3つ書き出す
一人に決めるのは、やっぱり少し勇気がいります。「この一人で合っているのかな」と迷うのは、当然だと思います。ただ、一人に向けると言っても、実在のお客さん一人だけを相手にするわけではありません。典型的な一人を思い浮かべて、その人に話しかけるように書く、ということです。同じような状況の人は、きっと他にもいます。その人たちにも届くことを、私は期待しています。
よければ、いま一緒にやってみませんか。最近いちばん相談してほしいと思った人を、一人だけ思い浮かべてみてください。年齢や肩書きは書かずに、その人の「いまの状況」「困っていること」「変わりたい未来」を、一文ずつ書き出します。その三文が、あなたの発信の呼びかけの出発点になります。
呼びかけが決まったら、他社との違いの伝え方はChatGPTのチラシが平凡になる理由と直し方が、入口の見た目との関係は「見た目が9割」か「中身が大事」かが参考になると思います。発信を頑張りすぎて時間がなくなっているなら、発信を頑張るほど、時間がなくなっていく人の共通点もどうぞ。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
参考にした資料
- ※1 ペルソナとは(Salesforce)
- ※2 Clayton M. Christensen, Scott D. Anthony, Gerald Berstell, Denise Nitterhouse「Finding the Right Job For Your Product」MIT Sloan Management Review、2007年春号
- ※3 Byron Sharp『How Brands Grow: What Marketers Don't Know』Oxford University Press、2010年(ISBN 978-0195573565)




